冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
お昼休み、休憩室で携帯を片手に近場の不動産会社を探していると、店長の三宅さんが入ってきて私の隣に座った。

三宅さんは私よりも二つ上の二十五歳。フワフワのパーマに綺麗な二重。スーッと鼻筋の通ったうちの店舗で一番の美人。


「桜木、捻挫完治おめでとう」

「ありがとうございます。ご心配とご迷惑をおかけしてすみませんでした」

「聞いて驚いたわよ。正社員の辞令が出た日に事故に遭って、空き巣被害にまで遭うなんて」

「本当、びっくりですよね。私も驚きました」


あの日から私の生活がガラリと一変した。社長と過ごすようになり、猫のみぃちゃんの代わりに溺愛され、毎日社長に恋をしている。


「でも桜木、そのおかげであのオンボロアパートを出て彼氏と同棲生活してるんでしょ。しかも彼氏、毎日お迎えに来てくれてるし、羨ましい」


社長は毎日、私の送迎をしてくれる。社長だって忙しいはず。それなのに「みぃのことよりも大事な仕事なんてない」と言ってくれた。


そして、もしショップの人たちに自分のことを聞かれたら同棲している彼氏ということと約束させられた。


彼氏なんておこがましいにも程があるのに、変に勘ぐられるよりはいいのかもしれないとそんな嘘をついている。


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