冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「・・・社長、すみません」

車に乗る前から不機嫌オーラ全開の社長。車を走らせてからもずっと無言のままだった。その空気がどうしても重く居た堪れなくて、すみませんと声を掛けるも返事はない。


やっぱりこんな時間に家に連れて行くなんて非常識だったよね。車で話すことも出来たのに、あの場から離れることでいっぱいだった私は、社長の家しか思いつかなかった。


「・・・社長じゃないだろ。今日は特別なペナルティを課すから。駐車場についたらそのつもりで」



淡々と前だけを見て、少し低めの声で言われ、萎縮してしまう。初めて今、社長のことを怖いと思ったかもしれない。私、本当に怒らせてしまったんだ、社長のこと。



二十分くらいで着いた社長の家。こんな高級車ばかりのところに軽トラックはかなり目立つ。出来ることなら明るくなる前に涼には納得して帰ってもらいたい。
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