冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
その言葉にハッと後ろを振り向くと壁にもたれ、腕組みをしている社長。レントゲンの時もずっと心配そうに見守ってくれていた。


もしかしたら私の知ってる社長の姿とは違い、本当の社長はとても優しい人なのかもしれない。でも、今の言葉はよくわからない。面倒をみる?


「えっ?面倒をみる?なんで?事故を起こしたから?でもほら、こんなこというのもあれだけど、口止め料払ったら彼女だって大事にはしないと思うけど」

社長の言葉は西原先生も疑問だったらしく、目を丸くして驚いている。当然、私も同じ。でも、お金なんていらない。そんなもの払ってもらうつもりさらさらない。


「私、お金なんていりません。ここに連れてきてもらっただけで・・・」


「それは俺の責任だ。とにかく今は治療に専念しなさい」


そう言うと社長は、部屋を出て行ってしまった。突然ずきる社長の発言に完全に言葉を失ってしまった私。

「あはは、すっかり固まっちゃったね。大丈夫?」


「あ、あの、頭がついていきません。どうしたらいいですか?」


「あはは。面白いね。でも、リョウがあんなこと言うなんてちょっと僕もびっくりしたよ」
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