冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
その後、三宅さんはやっぱりショップに戻ると言ったので、今、ショップの近くで三宅さんが車を降りるのを見送ったところだった。


「私、行かなくてよかったんでしょうか?」


「お前が行くと他の奴らも余計心配するしな。明日も午前休もらったんだ。ゆっくりしろ。悪い。ちょっと電話だ」


社長は路肩に車を止め、胸ポケットから携帯を取り出し、電話に出た。


相手は誰なんだろう?なんてそんなことまで思う自分は、すごく独占欲が強いのだと改めて実感した。


社長に好きだと言ってもらえて、自分も好きだと伝え、両思いになったのに本当に欲張りな私。これ以上望むなんて贅沢すぎる。


「ああ、大丈夫だ。みぃも元気にしている。心配かけたな。ああ?今から?悪いが今からはみぃと二人の時間だ。邪魔するな。また気が向いたら顔を出す。じゃあな」


「あ、あの・・・」


「みぃが倒れたと三宅から連絡を受けてからすぐに西原に連絡したんだ。もし、何かあればお前が診てくれと。すっかり連絡するのを忘れていた。でもみぃが何もなくて本当に良かった」


「ご心配おかけして、本当にすみませんでした」

シートベルトを外し、ぎゅっと力強く抱きしめられた。少しだけ早い音を立てて鳴っている社長の心音が聞こえた。

「・・・お前は、もっと自分を大切にしろ!俺のことを聞かされて頭がパニックになったのかもしれないけれど、お前が倒れたと聞かされた俺の方がパニックになった」


「社長・・・」


「こら、ペナルティ全然やってないだろ?ほら、ここなら誰も見てないし、お前から・・・」
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