冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
冷徹社長、降臨
それから二人でラーメン屋に行った。社長がどうしても食べたいと言ったから。私もラーメンなんて久しぶりだから嬉しい。

もうすぐ社長のお家に厄介になってから一ヶ月になる。


本当は出て行く予定で、いろいろと家を探したりしたりしていたけれど、それも必要なくなった。


「お前はずっと、俺のそばにいればいい。出て行くなんて考えるな」


種明かしのように実はそんなことを考えていましたと話すと、そう言われてきつく抱きしめられた。


とはいえ、すべてのお金を出していただいていることにはやっぱり気を遣ってしまう。社長に、それを伝えても聞く耳持たず。


そんなに稼いでいるわけじゃないけれどと話すと「だったらラーメンを奢ってくれ」と言われたのがきっかけ。


「どうして、ラーメンなんですか?好きだから全然いいんですが、やっぱり社長とラーメンってアンバランスのような」


「社長だと思うからだろ。さっきは可愛く呼んでくれたのにもう終わりか?」


運転しながらも横顔を見るとクスッと意地悪な笑い顔。またペナルティを課せられるとわかっていても呼んでしまう私も学習能力がない。


また家に帰ったらキスの嵐。本当、しっぽを振ってそれを待っているみたい。諒って呼ばなきゃ。
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