遠まわりの糸
彼女の素顔に一目惚れ
高校2年の、夏休み直前。
苦しんだ期末テストも、今日で終わり。
梅雨の中休みで、朝から夏みたいな日射しがまぶしい昼休み。
俺たちは、昼飯を早々にすませて、グラウンドでサッカーをしてた。
テスト期間中は部活も休みだったから、体がなまってしまうようで、気分が悪くて。
特にしめしあわせたわけじゃないけど、なんとなくサッカー部員が集まって、ミニゲームをしてた。
俺たちのサッカー部は、全国どころか関東大会にもいけないレベルだったけど、県大会ではベスト8くらいにいつもいるチームで。
先輩たちの歴史を汚すことのないよう、ほぼ毎日練習してた。
ただ、言い訳するみたいだけど、その日はテスト明けで一週間ぶりにボールを蹴った日で。
自分でも、感覚を取り戻そうとむきになってた気がする。
「サク、いつまでもってんだよ、まわせ!」
ゴール近くで、同じ高2の洋介が、俺に叫んだ。
「わりー、いくぞー」
俺は、洋介がシュートをうちやすい位置を瞬時に計算してセンタリングをあげたつもりだった。
ボールは大きな弧を描いて、洋介の前に届く
・・・はずだった。
次の瞬間、俺の蹴ったボールは。
洋介どころか、ゴールの枠からも大きくそれて、グングンのびていき。
こっちを見て固まっている、女子生徒の顔面を、ダイレクトにとらえてしまったんだ。
苦しんだ期末テストも、今日で終わり。
梅雨の中休みで、朝から夏みたいな日射しがまぶしい昼休み。
俺たちは、昼飯を早々にすませて、グラウンドでサッカーをしてた。
テスト期間中は部活も休みだったから、体がなまってしまうようで、気分が悪くて。
特にしめしあわせたわけじゃないけど、なんとなくサッカー部員が集まって、ミニゲームをしてた。
俺たちのサッカー部は、全国どころか関東大会にもいけないレベルだったけど、県大会ではベスト8くらいにいつもいるチームで。
先輩たちの歴史を汚すことのないよう、ほぼ毎日練習してた。
ただ、言い訳するみたいだけど、その日はテスト明けで一週間ぶりにボールを蹴った日で。
自分でも、感覚を取り戻そうとむきになってた気がする。
「サク、いつまでもってんだよ、まわせ!」
ゴール近くで、同じ高2の洋介が、俺に叫んだ。
「わりー、いくぞー」
俺は、洋介がシュートをうちやすい位置を瞬時に計算してセンタリングをあげたつもりだった。
ボールは大きな弧を描いて、洋介の前に届く
・・・はずだった。
次の瞬間、俺の蹴ったボールは。
洋介どころか、ゴールの枠からも大きくそれて、グングンのびていき。
こっちを見て固まっている、女子生徒の顔面を、ダイレクトにとらえてしまったんだ。
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