遠まわりの糸
「えっ、いいのに・・・」


「いいんだよ泉川、サクはサッカー以外なんも知らないヤツだけどさ、悪い男じゃないから」


洋介、フォローになってねーよ。


「幼稚園のことも覚えてなかったし、母さんも保険かけてるって言ってたから、弁償させて」


「わかりました」


「よっしゃ、そうと決まったらみんなでプロフ交換しよーぜ」


「なんで洋介も交換すんだよ」


「いーじゃん、俺も友達だろ」


強引な洋介に流されて、3人で連絡先を交換した。



お茶を飲んで一息ついてから、帰ることになった。


これから電車に乗って眼科へ行くっていう泉川と、同じ電車に乗って家へ帰る洋介は、ふたりで駅に行く。


「じゃあなサク、また明日部活でな」


「おつかれ、洋介、今日はありがとな。


泉川、また明日な」


「はい、今日はありがとうございました」


ペコリと軽く頭を下げて、泉川と洋介は駅へ向かって行った。


洋介は泉川に何かペラペラ話しながら、並んで歩いていた。


なぜか少しさみしい気持ちを抱えたまま、俺は自転車にまたがって家へ帰った。





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