遠まわりの糸
彼女がメガネを買いかえたら
次の日の土曜日は部活で、早朝7時にグラウンド集合。


晴れねーかな、ってちょっと期待したけど、どんよりとした曇り空。


さっそく洋介を確保して、昨日のことを聞き出した。


「洋介、おはよ」


「うっす・・・顔がこえーよ」


「そんなことねーし」


「心配すんなって、なんもなかったから」


「ペラペラしゃべってたくせに」


「あー、あれは俺が一方的に話してただけで」


「ふーん」


「あっそうだ、今日14時に駅前でどうですか?だって」


「わかった、連絡しとく。


それにしても、泉川ってずーっと敬語だよな。


同じクラスの女子ともそうなのか?」


「うーん、あんま記憶ないんだよなー。


キャピキャピしてるタイプじゃねーし」


「そっか・・・」


「サクくん、泉川のことめっちゃ気になってんじゃん」


「うっせーよ」



アップが始まり、部活に集中した。


テスト明けだったから、体が重くてしょうがなかった。


休憩でスポドリをがぶ飲みしてたら、


「お疲れー、サク、だるそうだね」


カオリが近寄ってきた。


「おう」


「ね、今日お昼一緒に食べてから帰らない?」


「わるい、今日の午後は出かけるんだ」


「ふーん、珍しいね・・・わかった、泉川さんと出かけるんでしょ」


口に入ってたスポドリを吐くかと思った。


「いいだろ、別に」


「図星かぁ・・・」


「カオリ落ちこむなよ、サクはメガネ弁償するんで一緒に買いに行くんだってよ」


いつのまにか、洋介が話に入ってきた。


「別に落ちこんでなんかないし」


「素直じゃねーな、意地はってると損するぞ。


ま、洋介さまがいつでも慰めてやっから」


「うるさい、バカ!」


「バカはねーだろー」






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