遠まわりの糸
俺らはいつも、3人でこうやって騒いで、言いたいことを言い合ってた。


そこへ、泉川が入ってきたことで、バランスが少しずつ狂いだしていたのかもしれない。


まだ俺たちは、気づいてなかった。


これから、俺たちがどうなっていくのか。


どんな未来を選んでいくのか。



部活が終わり、チャリで爆走して家に帰り、速攻でシャワーを浴びた。


風呂上がりにパンイチで麦茶飲んでたら、


「朔、これから葵ちゃんと出かけるんでしょ?


これお金ね、ちゃんと領収書もらってきてよ」


「わかった」


「ほんと、葵ちゃんだったから良かったけど、知らない人だったら大変だったんだからね!


気をつけてよ、もう」


「わかってるよ」


「あと、ちゃんとおうちまで送ってあげるのよ。


お茶ぐらい飲んできなさいよね。


あと、メガネを選ぶのに迷ってたら、話を聞いてあげるのよ」


「うっせーなぁ、わかってるよ!」


「まったくもう、乱暴なんだから」


さんざん迷って、結局ポロシャツ・ハーフパンツ・サンダルっていう、いつもとたいして変わらない服装になっちまった。


昨日の今日だし、服を買いに行く時間もないし。


駅で14時に待ち合わせだけど、まだ余裕があったから、泉川の家に向かうことにした。





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