遠まわりの糸
駅前のカフェに入り、向かい合わせに座ると、急に恥ずかしくなってきた。
注文をすませてから、沈黙が続いてる。
こんな時、洋介だったらなんかうまく話せるんだろーな。
そんな沈黙を破ってくれたのは、葵だった。
「朔、幼稚園の時のこと、なにも覚えてない?」
「あー、なんとなく覚えてるのは、園庭でよく遊んでた丸いジャングルジムと、給食かな」
「そっか」
「ごめんな、覚えてなくて。
あっもしかして、俺、葵になんかやらかしてた?」
「ううん」
「ならよかった」
お待たせしました、と店員が品物を運んできた。
「そういえば、葵はどうして国立大めざしてんの?」
「国立だからじゃなくて、行きたい学部があるから。
朔は、高校卒業したら何かしたいことあるの?」
「正直、なんも考えてないんだよなー。
漠然と、サッカーできたらいいとは思ってるけど。
でも、サッカーで生活できるわけねーしな、大学いってから就職するだろうな」
「サッカーに関係する仕事がいいんじゃない?」
「まずは、大学受験できるレベルになんねーと」
「じゃあ、一緒に勉強する?」
「いいの?」
「うん、もうすぐ夏休みだから」
ラッキー、会う口実ができた!
「部活のスケジュールとか、決まったら教えるから」
「うん、待ってる」
そこからは、時間も忘れて話しこんだ。
気づけば、もう18時すぎ。
「そろそろ帰ろっか、送るよ」
名残惜しかったけど、いつでも会える距離に住んでるんだし、高校でも会える。
駅から家まで歩く間、ずっと悩んでた。
ふたりっきりの時間。
これは、告白するチャンスじゃないか?
でも、いくらなんでも、知り合った翌日に告白するのは、早すぎるか。
だけど、葵の気持ちが知りたい。
好きなヤツ、いるのかな。
「今日はありがとう」
「おう、じゃあまた、月曜日にな」
「うん、またね」
玄関のドアが閉まった。
告白は、もう少し先にしよう。
本当は、告白する勇気がなかっただけだけど。
もう少し、このままの関係でいたかったから。
注文をすませてから、沈黙が続いてる。
こんな時、洋介だったらなんかうまく話せるんだろーな。
そんな沈黙を破ってくれたのは、葵だった。
「朔、幼稚園の時のこと、なにも覚えてない?」
「あー、なんとなく覚えてるのは、園庭でよく遊んでた丸いジャングルジムと、給食かな」
「そっか」
「ごめんな、覚えてなくて。
あっもしかして、俺、葵になんかやらかしてた?」
「ううん」
「ならよかった」
お待たせしました、と店員が品物を運んできた。
「そういえば、葵はどうして国立大めざしてんの?」
「国立だからじゃなくて、行きたい学部があるから。
朔は、高校卒業したら何かしたいことあるの?」
「正直、なんも考えてないんだよなー。
漠然と、サッカーできたらいいとは思ってるけど。
でも、サッカーで生活できるわけねーしな、大学いってから就職するだろうな」
「サッカーに関係する仕事がいいんじゃない?」
「まずは、大学受験できるレベルになんねーと」
「じゃあ、一緒に勉強する?」
「いいの?」
「うん、もうすぐ夏休みだから」
ラッキー、会う口実ができた!
「部活のスケジュールとか、決まったら教えるから」
「うん、待ってる」
そこからは、時間も忘れて話しこんだ。
気づけば、もう18時すぎ。
「そろそろ帰ろっか、送るよ」
名残惜しかったけど、いつでも会える距離に住んでるんだし、高校でも会える。
駅から家まで歩く間、ずっと悩んでた。
ふたりっきりの時間。
これは、告白するチャンスじゃないか?
でも、いくらなんでも、知り合った翌日に告白するのは、早すぎるか。
だけど、葵の気持ちが知りたい。
好きなヤツ、いるのかな。
「今日はありがとう」
「おう、じゃあまた、月曜日にな」
「うん、またね」
玄関のドアが閉まった。
告白は、もう少し先にしよう。
本当は、告白する勇気がなかっただけだけど。
もう少し、このままの関係でいたかったから。