遠まわりの糸
翌日、洋介と二人で近くの大型ショッピングモールへ行った。


服を買いに来たことはあるけど、女子が好きな雑貨店は入ったこともない。


洋介は、ピアスを物色していた。


葵はピアスあけてないからな、とウロウロしていたら、メガネケースが売っていた。


メガネをかけないからわかんねーけど、メガネケースは複数あると困るんだろうか。


葵はきっと、メガネケースを持っていると思う。


でもこのメガネケースはデザインが凝っていて、なんていうか遊び心がある気がする。


でもな、メガネケースかぶるだろうしな・・・


でも、ケースとお揃いのメガネ拭きもあるしな・・・


少しメガネケースから離れて、もう少しウロウロしてみたら、変わったペンケースがあった。


ファスナーを開けると、ペンスタンドにもなるっていうカラフルなもの。


葵が普段使っているのは、シンプルな黒いペンケースで。


使いこんでる感じだったから、喜んでくれるかも。


やっぱ、普段持ち歩いてくれるものをプレゼントして、使うたびに俺のことを思い出してくれたらなー、なんて。


「サク、決まった?」


「このペンケース、どう思う?」


「いいんじゃね、泉川らしい」


「あっちのメガネケースと迷ってんだけど」


「ふーん・・・両方あげれば?」


「両方?」


「ケースつながりでいいじゃん」


「洋介、真面目に考えてくれよ」


「予算的にはどうなの?」


「まあ、両方買っても三千円くらいだな」


「初めてのクリスマスなんだから、三千円くらいじゃねーの。


金額じゃないけどさ、目安にはなるから」


迷ったあげく、両方買うことに決めた。


クリスマスっぽいラッピングをしてもらうと、喜んでもらえるか急に不安になった。






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