遠まわりの糸
理工学部だから、ほぼ男子校のノリで。


授業、バイト、サークルという日常にも慣れてきた。


そんな時、カオリから久しぶりに電話があって、高校の帰りによく行ってたファミレスで待ち合わせした。


「おう」


「ひさしぶり」


カオリは窓際の席に座っていた。


制服じゃないからか、少し大人びて見えた。


「ねえ、何人か男友達を紹介してくれない?」


「なんだよ、突然」


「女子大だから出会いがなくて、友達紹介してって頼まれたの」


「洋介に言えばいーじゃん」


「・・・洋介といま、ケンカ中なの」


「え、この前洋介と会った時、なんも言ってなかったけど?」


「言うわけないじゃん、洋介が悪いんだから」


「洋介がなんかしたのかよ」


カオリが言うには、洋介が女連れで歩いてるのを見たらしい。


「専門学校の友達とかじゃねーの?」


「友達と腕組んで歩く?」


「うーん、でも洋介に限って浮気とかねーだろ。


で、洋介に聞いてみたのかよ」


「ただの友達だって」


「じゃあ、信じてやれよ」


「洋介も同じこと言ってた」


「だからって、当てつけみてーに合コンすることないだろ」


「だって悔しいんだもん」


「カオリがされてイヤなことを、洋介にすんなよ。


洋介のこと好きなら、信じてやれよ。


・・・俺からしたら、ケンカできるだけうらやましいよ」


「サク、ごめん」


「いいって」


「まだ、泉川さんのこと、好きなんだね」


「当たり前だろ」


「もう、1年以上たったんだね」


「そうだな」


「・・・いつまでも待つつもり?」


「どうだろうな」


俺からも洋介に話しとく、ってことで別れた。















< 46 / 98 >

この作品をシェア

pagetop