遠まわりの糸
揺らぐ気持ち
俺と朱里は、つきあうようになり。


内勤の朱里とは休みが合わないけど、朱里が休みの週末には、朱里のアパートに泊まる週末婚みたいな感じだった。


映画みたり買い物したり、恋人同士がする普通のつきあいを重ねていき、社内でもなんとなく気づかれてる雰囲気だった。


仕事もプライベートも充実してたはずなのに。


なぜか、心にスキマがあるというか。



「それは、あまりにもうまくいきすぎてるからじゃねーの?」


洋介とサシで飲んでた時に相談したら、バッサリ切られた。


「贅沢な悩みだわ、まったく」


「そう言うなよ」


「サクはいいよな、いま一番ラブラブな時期じゃん」


「そうかもな」


「あっさり認めんなよ」


「そういう洋介は、最近どうなんだよ」


「俺はさ・・・まあ、いいじゃん」


「なんかあったな」


「なんもねーし」


「ふーん、じゃあ聞かねー」


ハイボールが入ったグラスをもてあそんでいたら、


「・・・カオリと復活した」


ものすごい小さい声で、白状した。


「いつかはそうなるんじゃねーかと思ってた」


「くされ縁だな」


「一緒に住んでんの?」


「そう」


「へぇー、毎日彼女と一緒って、どんな感じ?」


「どうって、まぁ・・・いい感じ?」


洋介はヘラヘラ笑って、幸せそうだった。








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