姫色-Hime*iro-
「どこ行くの?」
「それはまだ秘密です。」
そう言った俺が、どんな顔をしていたのか、俺にも分からない。
ただ、お嬢様の瞳が不安げに揺れていることからして、あまりいい顔ではないだろう。
電車に乗ったことながなかったからそんな顔をしていたなんていうよく分からないお嬢様っぷりをかもしだしている…わけではないだろう。
三駅ぐらい行ったところで、電車を降りる。
駅には人影が少なく、周りの景色は卯崎家の近くとはうってかわって―――まぁあそこは一級住宅地だから仕方ないけれど―――建物は少なく、田舎のような所だ。
そう、ここは…
「ここどこ?」
「俺が生まれ育った場所です。」
それを聞くと、お嬢様の顔はパァッと明るくなった。
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