姫色-Hime*iro-
「今日、お前に執事がつくことになった。」
そうお父様に言われたのは、私が中三になったばかりのとき―――…今からちょうど一年前のことだった。
それまでずっと一人だった私は、誰かにずっと一緒にいてもらえるようになることが嬉しくて、"執事"の登場を心待ちにしていた。
しかし、昼を過ぎて夕方になっても彼が来ることはなく、もう来ないのではないかと思っていた、そんなとき…
ピンポーン ピンポーン
来た!!
私は一気に階段を駆け降りて一階のフロアに行った。
そこにはお父様と背の高い男が立っていた。あれがきっと執事なのだろう。
「遅くなって申し訳ありません。
今日からここで執事をさせていただくことになりました。
宮部なぎさです。
由妃さん…ですよね?」
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