アンフィニッシュト・ブルー(旧題 後宮)
雪がやむまで。
臆病な私は言い訳をするように、私は部屋の窓をときおり確認する。
窓枠に、白い雪の粒がうっすらと雪の層を作っている。
雪がやむまでの短い間だけなら。
こんなけが人を雪の中放り出さなかったからと言って、誰が私を責められるだろう?
国際問題になったらどうしよう、そう思いながらも、私は王子の額の汗を拭う以外、これといって行動を起こせないでいる。
そんな私を無視して、いつのまにか二階に上がりこんだ虎徹が勝手にベッドに上がって王子の脇の辺りに陣取り、体を丸めていた。
どうして虎徹は王子をこんなに庇うのだろう。
ここにくれば意志薄弱でNOと言えない人間がいる。それがわかっていて、この猫はあえて王子をここに連れてきたのだろうか……。
疲れていたせいだろうか、童話のような思い付きに、私は一人苦笑して首を横に振った。