理由
知らなければいい!
都合の悪い事は、知らなければいい!
見えないならそれでいい!知りたくない!知りたくない!知りたくない!
大きな声が頭の中に響いた。私の声だ。
視界が白く消えて行く。ああ、これは気を失うんだなと、どこか冷静に受け止めた。
だけど知りたくないって、一体何の事だろう。
いくら孝利を疑ったからって、まだ何もわからないのに、私の思考が導き出した答えにしては、間が飛びすぎている。
どちらかと言うと、誰かの答えだ。だけど哀愁を感じるのは何故だろうか。
知りたくない…このフレーズに懐かしささえ感じるのは何故だろう。
急に、知りたくないという切羽詰まった気持ちになって、ついに視界は白から真っ黒になってしまった。