理由
気絶以来、片付けなんてする気分じゃなくなった私は、毎日食べて、吸って、寝る事だけに徹した。

気が付いたら年が明けていて、タバコが無くなりかけていたので、おそらく元旦の夕方に一度だけ車でコンビニへ行った。
カップラーメンやらお菓子やらを買い込んだ。

普段はやらないタバコのカートン買いもした。
家にタバコがたくさんあると、安心感からかタバコの味が悪くなるが、今はその安心感が心地よかった。

テレビも見ないし音楽も聴かない。食べてるか吸っているか寝ているか。さもなければあの夢についてボンヤリと考えていた。

かつてこれほどまで虚無に時間を浪費したことがあっただろうか。

体重が増えそうだが、Sサイズの服もフィットしないと感じるこの体には、ちょうど良いだろうと思った。

あの夢を見てから、ぼやけた不安はやんわりと消えてきたのだった。
理由はわからない。ただ、あの気持ちとシンクロしてからは、もう不安に思わなくて良いんだとなぜか考えるようになった。

あの夢を、頭の中は真実と肯定したのかもしれない。

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