理由
「よかった。じゃあお土産もたくさん持って帰るよ。」

「うん。」




孝利と付き合って、一年。まだ一年と言ったほうが良いと思う。

孝利と話していると、仕事中の自分からは想像もつかないくらい女の子になってしまう。

仕事っていうのはやはり気を引き締めているから、どちらかと言えば女の子が自分の素顔に近いんだと思う。

だからって、今まで孝利以外の男性に、こんなに女の子な自分で接した事はない。

この女の子な自分は、孝利と付き合い初めて一ヶ月くらいで顔を出した。そして驚く程早くそれが定着した。
ツンデレっていうのは私の事かもしれないと、流行がだいぶ過ぎ去った頃に思い至った。

女の子でいる事、素顔に近い状態でいることは、こんなにも居心地がいいのかと驚いた。

女は女の喜びを素直に受け入れる事が、やはり幸せなんだと思った。

女は、結局無意識に結婚に憧れる。家庭で男をサポートする事が、女の幸せだと生まれた時から知っている。


だけど私は、孝利と結婚をするなんて、やっぱり嫌だ。
それは女の本能として結婚に憧れながらも、孝利と家庭を待つ事を本能的に拒絶する。

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表紙・目次

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