毎日だって好きって言うよ。
「大丈夫です!

大原先生、居残り作業の前に毎回少し作業を進めておいてくれるじゃないすか!それだけで、大分助かってますから!」


「ん?何のことだい?」


「へ?」


私と大原先生は顔を見合わせて、同時に首を傾げる。


「僕は何も手伝ってないよ?」


「え…。

だ…だって!
デザインが決まった次の日に大方の原本が完成していたり、刷らなきゃならない部数の計算がしてあったり、今日だって…昨日バラバラだったはずのものが、こうやって一部ずつ分けられていて…」


まるで、次の時に私達が作業しやすいように、先回りして面倒な作業を選んでしておいてくれてるみたいに…––––––––


先生は、何かを思い出したかのように、

「あぁ。それね。」

と言う。




「それ全部、東阪君だよ」












さっきまでの真っ赤な夕焼けが、嘘のように藍色に変わり、


時刻を確認すれば、もうすぐ18時になる所。


いつもなら、そろそろ居残り作業を切り上げて帰る時間。


だけど今日の私は、黙々と作業を続けていた。


「多分…もうすぐだ」


そう呟いたと同時に、静かな教室に廊下からの足音が響いてくる。
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