毎日だって好きって言うよ。
周りの音が聞こえなくなって、
自分の心臓の音だけが、聞こえてくる。
まるで時が止まってしまったみたいに私の周りの動きが止まって、視界もぼやけて。
それなのに。
あなただけは、
はっきりと鮮明に、
私の中に飛び込んでくる。
「キャーーー!!悠太はやーい!!」
「すごいっ!どんどん抜いてくよ!!」
側にいた女子達の声で、はっと我に返る。
「何あれ…。どういう事よ?」
隣にいるしーちゃんも眉間に皺を寄せながら、食い入るようにグラウンドを見つめてる。
本当に、どういう事だろう?
あの先輩が…。
面倒臭さがりで、やる気がなくて、常に無気力なあの先輩が……。
悠太先輩にバトンが渡るまで、先輩のクラスは確かに最下位だった。
それなのに、悠太先輩にバトンが渡った瞬間、
圧倒的な速さで、遅れた分の距離をグングン取り戻して、
1人、また1人と抜いて、
気が付けば、悠太先輩は友野のすぐ後ろにまで迫っていた。