毎日だって好きって言うよ。
「肥田ゴリラの話、何だった?」


「んー。次の中間で赤点取ったら、留年決定だって」


「うわっ。マジかよ…。お前やべーな」


「やべっすな。」


下駄箱でローファーに履き替え、昇降口を出る。


秋の夕暮れを知らせるように、空が茜色になり始めていた。


校門まで続く道には、まだ下校途中の生徒がまばらにいて、悠太先輩はいないかな。なんて、つい辺りを見回してしまう。


もうこれは癖のようなもんだ。


「陽伊代おっせぇ」


そんな私の癖を知ってか知らずか、強く私の手を引いて、足早に校門を出ようとする友野は、少し不機嫌な顔をしてる。


帰るだけなのに急かすんじゃないよ。

セッカチ友野が。






「お前さぁ。あの先輩のせいなんじゃねーの?」


学校から駅までの道を歩いていると、未だむっつりした顔の友野が突然そんな事を言い出した。


「え?何が?」


「お前が頭悪いのがだよ」


おい。

頭悪いは言い過ぎだろが。


「それが何で悠太先輩のせいなのよ」


「…だってお前、あの人の事で四六時中頭いっぱいだろ?」


「……」


まぁ。それは認める。
< 19 / 364 >

この作品をシェア

pagetop