毎日だって好きって言うよ。

–––––「おいっ!」



私は瞬時に悠太先輩から離れ、声のした方を振り返る。


–––––「お前なぁ。はぐれるなって言っただろ?」


–––––「ごめんごめん!あのイルミネーションが観たくてつい!」


他愛もないカップルの会話に、私の心臓は激しく脈を刻んでいた。


何だ……知らない人か……。


てっきり……


「友野君かと思った」


私は驚き、弾かれるように悠太先輩を見上げる。


「似てたね。声」


「…あ……はい……」


さっきまでの楽しかった雰囲気とは一転、私と悠太先輩の間に何だか気まずい空気が流れる。


どこからか流れてくるクリスマスソングがさっきよりも響いて聞こえてくる。


「ピヨちゃん」


「?」


優しく私の手を取る悠太先輩。


「あれ。一緒に乗ろうか」


「……観覧車?」


悠太先輩の指差す先には、電飾で次から次に色の変わる大きな観覧車。


この町のトレードマークみたいなもので、少し歩いた所にある入園無料の遊園地の中にあるものだ。


昔から“一度は好きな人と乗ってみたい”そんな願望があったはあったんだけど……。


悠太先輩はそんな私の願望まで叶えてくれちゃうんだろうか?
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