毎日だって好きって言うよ。

好きか嫌いかって言われれば……。


「嫌いなわけないじゃん」


「じゃあ、好き?」


「はぁ!?」


今度は仔犬のような目で見てくる友野に、私は思わず「うっ…」と声が漏れてしまった。


好きかって聞かれりゃ…そりゃあ……


「好き…?だけど…。でもそれは……」


それは、友達としてだ。


友野を1人の男の人として見てるかって言われれば、そうじゃない。


今まで家族くらい気の使わない友達だったんだよ?


そんな直ぐ、そういう目で見られるわけがない。


「まだいいよ。男として見てなくても。これから少しずつ意識させてくから。
だから、俺と付き合うこと考えておいて」


そう言うと友野は、私の手を取り歩き出す。


意外に積極的なんだ友野って。


思ったより男らしいじゃん。


繋いだ手も意外に大きくて、ゴツゴツしていて、男の人の手だ。




でもごめん。友野。

こんな時でまで、私の頭の中は悠太先輩のことを考えちゃうんだよ。


悠太先輩のあの手が忘れられない。


こんなんじゃダメだよね。


前に進まなきゃいけないのに。



もしも、友野と付き合ったりしたら、少しは前に進めるのかな……。





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