毎日だって好きって言うよ。

私達の前方から歩いて来るのは、悠太先輩と何人かの派手な女子。


悠太先輩は、購買で買ったと思われるパンを片手に、女子達に付き纏われてちょっと鬱陶しそう。


珍しいな。


お遊び相手の女子達に、あんなクールな先輩。




…ていうか……悠太先輩、…お昼あれだけで足りるのかな?




……本当は…沢山……食べるくせに……



「陽伊代!?」


しーちゃんの叫び声が聞こえる。


それと同時に、悠太先輩が驚いた顔で私に気が付いたのが見えた。



あ。

悠太先輩が……私を見てくれた……。



スローモーションで動く景色が、最後は地面になって、


そこからは全てが真っ黒になって、最後には意識を手放してしまった–––––。




––––


ふわふわ。


ゆらゆら。


何だか凄く気持ちいい。


温かくて、頼もしいそれに、私はしがみつく。


あ。


この匂い知ってる。


私の…大好きな匂い……。


「……好き……」


私がそう言うと、彼は少しだけこちらを振り向く。


そして、優しく微笑んだ。


––––


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