毎日だって好きって言うよ。
さすがに、カァッと顔に血が上ってきて……。
限界だ。
「……っ…付き合いきれない。悪いけど、話はまた今……」
今度こそ、出て行こうとドアノブを引いたときだ。
背中にドンッと衝撃を感じて、俺は咄嗟に振り返る。
俺の腰に手を回して、ピヨちゃんがしがみついていた。
その肩は小さく震えている。
「……っ…1位……」
「ピヨちゃん…?」
「“君が前に進めたこと、喜ぶ人がきっといる”」
俺は、目を見開いて彼女を凝視した。
その言葉に聞き覚えがあったからだ。
「悠太先輩は…覚えてないかもしれないけど、悠太先輩が私に言ってくれた言葉です」
頭の中で、桜吹雪が舞う。
あれは確か、去年の入学式だ。
校門の前で、肩を震わせ、唇を噛みながら佇む…女の子……。
なぜか分からないけど、学校と公道を隔てるその一歩を踏み出そうとせず、入学式が始まろうとしているのに何分も何分もそこから動き出そうとしない。
その姿が、まるで自分を見ているようで…–––。
「私は…あの日、悠太先輩がいたから前に進めた…。…っ…一歩を踏み出せたんです!」
自然に身体が動いていたんだ。
彼女の肩を抱き、その背を押すように一緒に校門をくぐった。