毎日だって好きって言うよ。
口の中に、バターとバニラの程よい甘さが広がって、


「美味し?」


と意地悪な笑みを浮かべる先輩に、素直にコクコクと頷いてしまう。


それを見た先輩は、「それはよかった」と言って、私が食べたクッキーの片割れを自分の口に運び、


「うん。確かに美味いね」


なんて自画自賛してから、ペロリと舌を出した。



何だか…


何だか凄く幸せだ。


悠太先輩と半分こ、同じクッキーを食べて、


それも、凄く優しい味で美味しくて、


悠太先輩も私と同じようにそれを感じてくれている。



今までに感じたことがないくらい、悠太先輩を近くに感じる。




クッキーを食べ終わり、悠太先輩を盗み見れば、先輩はとっくに食べ終わったようで、

塀に寄りかかりながら、オレンジが濃くなり少し藍色の混ざり始めた空を一人仰いでいた。



クッキーも食べ終わったし、悠太先輩…帰っちゃうのかな?


寂しい…なんて思ってしまうのは贅沢かな。



まだ一緒にいたい。


まだ悠太先輩を側に、感じていたい。
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