レビンのマド

自分の心

アタシの家は市が管理するアパートの4階。


見た目も中身もボロボロ。


アタシは小5の時にここに引っ越してきた。



アタシはここの階段が嫌い。



転校してきて新しい学校でイジメられて…まだお母さんに言えなかった時…学校でも泣けず家でも泣けず…この階段を泣きながら通った。



冬になれば灯油がいる。お母さんはまだ2歳の妹と買い物袋を持って上る。アタシはその後ろを灯油のポリタンク2つ抱えて上った。

小5から高1まで毎年の冬のアタシの仕事。


ポリタンクがない日はアタシが買い物袋。


アタシが妹だったら善かったのに……



お父さんが居ればアタシもお母さんと手をつなげるのに…


そんなことを考えるのもこの階段。



階段は4階までだけど、アタシの心にはどこまでも続く淋しくて暗い階段があるような気がしていた。


でもアタシは笑顔を心がけた。


お母さんは精神的、肉体的にとっくの昔に限界だった。


不安と貧乏は人の心を簡単にダメにする。


妹はのほほんとしていた。


これからもそれで良いと願っていた。




でもアタシの笑顔もいつしか限界がやってくることをこの時は誰も気付いていなかった。
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