親友の死、コトバは罪より重い(アメリカイヌホオズキ)


内海さんの言う通りだ。

男子は沙耶の死の真相を知りたい気持ちもあるくせに早く受験に集中したいと言い張る。


内海さんのおかげで男子二人は黙った。

姉御的存在の内海さんは運動神経も良くて女子みんなの憧れだった。

それはそれで良いんだけど、この緊迫とした教室の空間を誰か破ってほしい。


「とりあえず容疑者は加藤でいいんじゃね?はい決定!!」


クラスの中のお調子者である神谷くんが加藤さんに対して笑いながら指をさした。


「なんでよ!私はあの日部活でずっと体育館にいたわ。部員が証人よ!」


「でも加藤以外いないだろ?バスケ部」


「そ、そんな…。私には沙耶を殺す動機なんて無い!!」


「女の友情なんて所詮すぐ崩れるだろう?殺意にいつ変わってもおかしくねぇし。両極端ってやつ?」


加藤さんは否定しているけど加藤さんを犯人と決めた神谷くんは笑うのをやめて加藤さんに人殺しと言って睨みつけた。


「違う!私じゃない!」


否定するように机をバンッ!と叩く加藤さんを助けようとする女子は誰もいなかった。


私もだけど疑われたくない、人殺し呼ばわりされたくない、そんな色んな気持ちが混じってくる。


加藤さんと普段から仲がいい水谷さんも加藤さんを庇わなかった。

友情なんて所詮そんなもの。

緊迫状態になると誰かに押し付けたりして、自分を守って、支配下に置く。


「あと、一人」


山本くんはそう呟いた。冷んやりとした空気がスーッと流れる


次は成績が良い女子が疑われる。

趣味が読書と梶谷さんは言っていたけれど読書が趣味な女子はこのクラスには沢山いた。

一学期までは、おしゃれな雑誌を持って服やメイクについて語っていたけど

二学期に入ってからは受験生である私たち女子は雑誌よりも本や参考書を読んでいた。


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