親友の死、コトバは罪より重い(アメリカイヌホオズキ)
「間違ってないでしょう?貴女は偽善者よ。何も出来ていないんだから」
確かに何回もそう思った。
何かしようとしても行動出来なくて
間に合わなくて
悔しかった。
「そう…だけど…」
「だけど何?…あ、ちなみに加藤さんは犯人じゃないわよ。可哀想に…貴女たちの自分勝手な思い込みで標的にされてしまうなんてね」
「!?」
私は、淡々と独り言のように話してる梶谷さんが怖く感じてきた。
カフェモカを飲んでるのに、暖房が効いているはずのカフェなのに寒気がする。
どうでもいいような話し方をしているけど確実に狙った獲物を逃さないような恐怖を与えてる感じだ。
梶谷さんってこんな人じゃなかった。
沙耶と梶谷さんは太陽と月のような関係だった。太陽が沙耶で月が梶谷さん。
二人一緒だったから輝いていた。
例え梶谷さんが月だとしても太陽の沙耶の陰に隠れてしたわけじゃなくて隣にいた。
冷静に物事を考えテキパキと行動したり悩んでいる人がいたら背中を押してあげるのが梶谷さんだった。
それなのに今は、別人だ。
「この事を話せば加藤さんのいじめは終わるかもしれないね」
「他人事のように言わないでよ。終わるどころか、加藤さんは不登校になっちゃったんだよ?不登校から復活するのって…凄く勇気がいるじゃない!!」
「でも、そしたら翔子は偽善者じゃなくなるから一石二鳥だよ?」
「偽善者とか、どうでもいいよ!!」
何も出来なかった事に対しては否定するつもりないから梶谷さんが正しいよ。
それよりも、犯人じゃないのに犯人扱いされて精神的にボロボロになった加藤さんに私はどう贖罪すればいいのかな…。
やっぱり加藤さんじゃなかったんだ。
「だけど皮肉よね。貴女達のせいで加藤さんの心はガラス同然ね」
「……え?…」
「知ってる?心が繊細な人の事をグラスハートって言われたりもするの。たとえプライドが高い人でもグラスハートの人はいる」
“ガラスの心”
“グラスハート”
あれ?…私、前にも似たような話を誰かとしたような気がする。
誰だっけ?…思い出せない!!
「そうそう、尾崎さんもグラスハートなんだよね。彼女の怯えている姿は笑えるぐらい今でも忘れてない」
今まで感情がないかのように無表情に近かった梶谷さんがクスッと笑った。
人の不幸を笑うなんて…最低!!