家政婦だって、恋したい
挑発
―結衣side―
碧斗さんが意地悪するもんだから、
堪えきれず大浴場に逃げ出してきてしまった。
「٠٠٠絶対面白がってる。」
私は、脱衣場で服を脱ぎながらぼそりと呟いた。
それにしても、
かれこれ1ヵ月は碧斗さんの元で働かせてもらっているが、
緑花が言うほど、碧斗さんは冷酷な人じゃないと思う。
露天風呂の縁の石に寄りかかり、右から左まで紅葉の木々に覆われた山々と、それを綺麗に写す麓の川をまじまじと眺める。
オススメというだけの程はある絶景を見つめながら、
あっという間に過ぎたこの1ヵ月を振り替える。