家政婦だって、恋したい
「別に碧斗を諦めろって言っている訳じゃないの。あの人の気持ちもあるわけだから٠٠٠」
想い人に、突然恋人を紹介された麗奈さんのことを思うと、
私は、彼女の目を見つめることが出来ずにいた。
「でも、私諦めないから。ぽっと出の貴方なんかに、碧斗は渡さない。」
言い終わると麗奈さんは立ち上がり、引っ張ってきたひとり掛けのソファを元に戻す。
「٠٠٠話はそれだけ。引き留めてしまってごめんなさいね。」
そう言ってにこりと微笑んで、麗奈さんはこの場から去って行く。
余りにも唐突の事に、
私は一人、その場から動けずにいた。