家政婦だって、恋したい
「皆様、本日は金麗花にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
この金麗花は、私の父、藤崎義斗(ふじさきよしと)の親友、坂野内俊晴(さかのうちとしはる)の一族が、100年以上守り抜いた、歴史ある旅館です。
しかしながら、皆様もご存知の通り、昨年の震災で旅館の運営が厳しくなり、止むを得ず立て直しという事となってしまいました。我藤崎リゾートは、素晴らしき歴史を崩す事無く、再びこの地で営業が出来ますよう尽力し、本日、このような形でのお披露目が出来ました事を、とても嬉しく思います。皆様どうぞ、ごゆっくりお寛ぎ下さい。」
碧斗さんの挨拶は簡単ではあったけれど、
言葉一つ一つを清々しい表情で話ているのを見ていると、どれ程この日を待ち望んでいたのか分かったようで、私も嬉しくなった。