家政婦だって、恋したい
「結衣ちゃん、そんなところで何やってるの?」
黒と白のボーダーシャツに、黒のスキニーパンツ、その上にキャメル色のダッフルコートを羽織った拓哉さんが、不思議そうに私を見たあと、
目の前のキスシーンに目をやる。
「…そういうこと。」
ボソッと言ったかと思うと、拓哉さんの表情が一気に暗くなる。
「拓哉っ!?」
拓哉さんに気が付いた麗奈さんが、血の気が引いたように固まった。
麗奈さんの声に釣られ、ずっと背中を向けていた碧斗さんも、此方に向きを変える。
その瞬間、私は腕を掴まれていた。