家政婦だって、恋したい
―碧斗side―
時刻は23時。
俺は、麗奈に渡されたメモ通り、1階のロビーに来ていた。
「お疲れ様、碧斗。」
ソファの背凭れに身体を預け、脚を組んで目を瞑っていた俺は、待ち人の登場に目を開ける。
「…あぁ。」
短く返事をすると、麗奈が俺の前に腰掛ける。
「思っていたよりも、宴会が長くて疲れちゃったわ。」
麗奈はフーっと息を吐き出す。
祝賀会は22時半頃に終わったが、麗奈たち旅館の者は、そこから更に片付けと慌ただしかった事だろう。
「まだ片付け終わってないんだけれどね。少し抜け出してきちゃった。」
麗奈はそう言って、悪戯をした子供の様に笑う。