家政婦だって、恋したい
「…済まないな、まだプレオープンだというのに。」
「いいえ、私は嬉しいのよ。またこうやって金麗花の若女将として働けて。碧斗が資金援助を名乗り出てくれなければ、今頃は廃墟となっていただろうから…」
今の状況が信じられないのか、麗奈は目を伏せて嬉しそうに微笑む。
(…それもそうか。)
老朽化の所為もあり、地震による崩壊は、再建にはとても難しいものだった。
誰もが、100年の歴史は終わったと思っていたくらいに。
それを俺は、
『驚異の復活を遂げた、奇跡の旅館』
という売りで、前と見た目が変わることなく、蘇らせる事に成功してみせた。