家政婦だって、恋したい
俺は、拓哉とその隣に居るであろう結衣に向かい合おうとするが、
既に拓哉が結衣の腕を掴んで、玄関へと足早に歩き去ろうとしていた。
俺は呼び止める事も出来ずに、
旅館から消えていく二人を黙って見つめていた。
二人の姿が見えなくなると、
目の前で固まって俯いている麗奈を見る。
「麗奈お前、どういうつもりだよ。」
「…碧斗…私っ…」
麗奈は、明らかに動揺している。
「…私っ…ただ結衣さんをからかってやろうって思ってっ…本当にキスするつもりなんてなかったのよ…」