家政婦だって、恋したい
結局、私たちは何も語る事無く、宿へと帰ってきた。
ガチャッ
「…ただいま帰りました~…」
もう寝ているかもしれないと思って、小声で部屋に入る私と拓哉さん。
「…遅かったな。」
「あ、碧斗さん。起きていらっしゃったんですね。」
碧斗さんはお風呂上りみたいで、濡れた頭にタオルを被り、ソファの背凭れに身体を預けながらビールを飲んでいた。
「悪いか?寝れなかったんだよ。」
(な、なんか怒っていらっしゃる…)
碧斗さんは、私でも判るほど不貞腐れた顔をしていた。