家政婦だって、恋したい
私は、躊躇いながらもグラスを受け取り、お互いのグラスを合わせた。
「乾杯。」
そう言った碧斗さんは、部屋に籠る前の表情とは打って変わって、和やかに微笑んでいた。
彼の後ろに見える東京の夜景が、碧斗さんを照らすように輝いていて、美しく整った顔をより一層、妖艶にしていた。
私の心臓は、本人の意思とは裏腹に、鼓動を速める。
「うまっ!」
ハンバーグを食べた碧斗さんが、今度は違った笑みを料理に向ける。
(こんな顔もするんだ…)
色っぽく笑ったかと思ったら、今度は無邪気な笑顔。
出会ったばかりの、私に意地悪な彼が嘘のよう。