家政婦だって、恋したい
コンコンコンッ
部屋に響いたノックの音で、俺と結衣は同時に固まる。
「チッ」
俺は舌打ちすると、
結衣の上に被さっていた身体を退かして、乱れた浴衣を直した。
「碧斗~結衣ちゃん~そろそろ朝ご飯だし、移動しよう?」
拓哉がドアの前で叫ぶ。
「あぁ、着替えたら行く。結衣、お前は先に行ってろ。」
俺は拓哉に返事した後、目の前で顔真っ赤にして俯いている結衣に告げる。
「…分かりました…」
小さく結衣はそういうと、
腰を抜かしているのか、ゆっくりと立ち上がり、俺から逃げるように足早に廊下に出て行った。