家政婦だって、恋したい
「…行ってくる。」
碧斗さんは、何も言わずに会社に行かれたけれど、
絶対昨日の事を気にしていると気づかれている筈だ。
そもそも、
あんな事をする碧斗さんが悪いわけで、
どうして私が意識しないといけないのか。
碧斗さんは気にしていないみたいだったし、
どうして私ばっかりこんな乱されているんだろうか。
凄く不公平だ。
そんな事を考えながら家事をしていると、
気付かぬ間に、掃除と洗濯物を干しを終えていた。
「…碧斗さんが”俺に惚れるな”って言ったのに…これじゃぁ益々…」
そこまで口にして、思わずハッとする。
「益々ってなに?…まるで私が碧斗さんを好きみたいじゃない。」
「違う違う絶対違う」と自分に言い聞かせ、夕飯の買い出しに出掛けた。