家政婦だって、恋したい
「…ただいま。」
午後20時過ぎ。碧斗さんが珍しく一人で帰ってきた。
いつもなら、碧斗さんに続いて拓哉さんの元気な声が聞こえるのだが、今日はそれがない。
「おかえりなさいませ。今日は拓哉さんいらっしゃらないんですね。」
「…あぁ、あいつは用事があるとか言って、珍しく定時で帰って行ったよ。」
碧斗さんは、カウンターテーブルに並べられている料理を見つめる。
「そうなんですね。拓哉さんの分も用意してしまいました。」
拓哉さんと帰ってくるのが当たり前になっていたものだから、つい夕飯を3人分用意してしまっていた。
私は、余った分は明日のお昼にでも頂こうと考えていると、
「ふーん、じゃぁそれも食べてやる。」
と、拓哉さんの料理も指差す。