家政婦だって、恋したい
「…実は、明日拓哉が有給取って急に休みやがって、『俺には有給なんて使う暇すらないのにお前だけずるい』とか言い返してやったら、『じゃぁ今週の金曜日何とかして取らせてやるから許せ』って言われてさ。」
「そうなんですね。」
私はその光景を想像してクスッと笑ってしまう。
「先週までは、土日も金麗花の準備でバタバタしていてお前にも迷惑掛けたし、拓哉が『俺らと違って、結衣ちゃんはお前のお守で休みなんかないんだから、せめてご褒美くらいあげろよ』って言うから、お前の行きたいところ連れてってやる。」
「えっ、えっと…」
突然の事で私の思考回路が一瞬止まった。
「何か予定でもあった?でも悪いけど、お前に拒否権ないからな。」
「あれ?私のご褒美に拒否権なしってあるの?」と思ったが、彼なりの私への優しさなのだと今ならわかる。
「予定はないです…ありがとうございます。」
その不器用な優しさがすごく嬉しかった。