家政婦だって、恋したい








『女は性欲を吐き出す道具』

彼が初日に言ったその言葉。



私は、あの時の碧斗さんの冷めた表情が、
今でも忘れられないでいる。


あの光のない孤独を感じる目。

私を脅すように言っているその言葉も、何故か自分に言い聞かせているように聞こえた。




何があって、彼をそこまでしてしまったのかー









私は、目の前で大きな水槽に泳ぐ一匹の大きなサメを見つめている彼を見つめる。



恋心を自覚してしまった今、私に出来る事なら何でもしてあげたいと心の底から思った。



その為には、

私の芽生えてしまった恋心に気付かれてはいけない。


碧斗さんと一緒に居られるなら、

彼の笑顔が見られるなら、


私はこの気持ちを隠し通す。




(私は唯の家政婦よ…)


そう心に決めた。











< 172 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop