家政婦だって、恋したい
「…そういえばこの間、父親の見舞いに行けていないって言っていたな。」
夕食のシーフードドリアを食べながらふと、水族館の後に行った行き付けの高級中華料理店での会話を思い出して尋ねた。
こいつの弟は見たけど、父親の姿を見たこともなければ、話すら出たことがなかった。
母親は、こいつが小学生の時に亡くなったんだと、妹の緑花に聞いたことがあったが…
それを食事の席で聞いてみたら、今は父親の実家に居るのだと聞いた。
精神病を抱えている父親を、
高齢の祖父母と、一緒に住んでいる伯父伯母に任せるのは気が引けたが、
自分は働きに出るし、弟は大学とバイトで誰にも家に居ないことを考えると、それが最善だろうと考えたそうだ。
「は、はい。確かに言いましたけど…どうかしましたか?」
「今度の土日、休みになったから連れてってやる。」
「え、えぇ!?」
俺の発言に、結衣はかなり驚いているようだ。