家政婦だって、恋したい
「失礼ですけど、藤崎さんは何をしてる方なんですか?」
お寿司のイカを口に頬張ろうとしていたら、泰子さんが尋ねてきた。
「…少々ホテル事業なんかをやっております。」
「えっ!?社長さん!?」
相当驚いたらしい泰子さんは、隣に座る弥江さんに「社長さんだってよ!お祖母ちゃんっ!」と肩を揺すっていた。
「社長さんとはつゆ知らず…こんな田舎料理ばかり並べて申し訳ないねぇ。」
「いえ、そんなことはありませんよ。とても美味しいです。野菜は、泰子さんやお祖母さんが作られているとお伺いしましたが、味が全然違いますね。」
ニコッと営業スマイルで本心を言うと、泰子さんとお祖母さんは嬉しそうだった。