家政婦だって、恋したい
「碧斗さん、今日は私たちを連れてきてくださってありがとうございました。」
墓参りが終わると、佑真を待つために近くのベンチに腰かけた俺たち。
「…いいよ別に。これも"ご褒美"の1つだから気にするな。」
「私は仕事として当たり前の事をしているだけなのに、こんなに贅沢なご褒美を頂けるなんて…ありがとうございます。」
「はいはい。」
俺は結衣に素っ気なく言うが、
内心、自分でもどうしてここまでしてやってるのか分からないでいた。
(本当、どうしたんだ俺。らしくない。)
今まで、女の為に何かをしてやるなんてことは、1度だってなかった。
ましてや家政婦なんかには。
結衣が来るまでの家政婦には、
兎に角出来るだけ関わらないようにし、話すのも業務の内容についてのみ。
仕事の事を話したり、一緒に食事したり、出掛けたりするような事はあるわけがなかったんだ。