家政婦だって、恋したい





「碧斗さん、今日は私たちを連れてきてくださってありがとうございました。」

墓参りが終わると、佑真を待つために近くのベンチに腰かけた俺たち。



「…いいよ別に。これも"ご褒美"の1つだから気にするな。」

「私は仕事として当たり前の事をしているだけなのに、こんなに贅沢なご褒美を頂けるなんて…ありがとうございます。」

「はいはい。」


俺は結衣に素っ気なく言うが、

内心、自分でもどうしてここまでしてやってるのか分からないでいた。





(本当、どうしたんだ俺。らしくない。)

今まで、女の為に何かをしてやるなんてことは、1度だってなかった。


ましてや家政婦なんかには。




結衣が来るまでの家政婦には、

兎に角出来るだけ関わらないようにし、話すのも業務の内容についてのみ。


仕事の事を話したり、一緒に食事したり、出掛けたりするような事はあるわけがなかったんだ。







< 184 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop