家政婦だって、恋したい
薄らと雪が掛かった景色をぼーっと眺めてそんな事を考えていたが、
ふと、隣で白い息をはいて手を温めている結衣を見る。
すると、結衣もこちらを見ていたのか目が合ってしまい、慌てて目を逸らされてしまった。
「ゆ、雪も降ってきそうですし、帰りましょうか。」
結衣は俺の目を見ずに言うと、ベンチから立ち上がり、俺から距離を取る。
「…佑真はいいのか?」
その動作にイラっとしたが、何事もなかったかのように問う。
「いいんです。遅いゆうくんが悪いんですから。」
それからは、
俺たちはなんだか気まずくて、家に着いてもお互いに余り話さないままだった。
そうして、ひと晩お世話になり朝を迎えたのだが、
今だ結衣とはあまり話さないまま。
というか、避けられている。
「お祖母ちゃん、泰子さん、御馳走様でした。お父さん、また来るからね。元気にしててね。」
いよいよ帰る頃になり、結衣の父親も顔を出してお見送りをしてくれた。
俺と佑真は、既に車で待機していた。
「おい、結衣行くぞ。」
「はーい!…じゃぁ、またね!」
こうして俺たちは、東京に戻ってきたのだった。