家政婦だって、恋したい
クリスマスイブ
―結衣side―
碧斗さんに、父の実家に連れて行って貰ってから3週間程が過ぎた。
3日後はいよいよクリスマスイヴだ。
東京の街はすっかりイルミネーションに染まり、あちこちにクリスマスの装飾が施されている。
「クリスマスかぁ〜ケーキでも作ろうかな。」
夕食の買い物の道中、赤や緑に彩られた装飾を眺めながら、ふとそう思った。
私は、毎年クリスマスに関係なく、バイトの掛け持ちで忙しかったが、
今年は家政婦の仕事をやり始めたので、飾り付けは無理でも、ご馳走くらいは作れそうだ。
「碧斗さん、食べてくれるかな?」
碧斗さんに食べて貰っているところを想像すると、思わず顔が綻ぶ。
そんな時、鞄にしまっている携帯の着信音が鳴った。
「・・・もしもし?」
{あっ、結衣?久しぶり〜!}
「緑花久しぶり!」
電話の相手は、碧斗さんの妹にして私の親友、藤崎緑花からだった。