家政婦だって、恋したい
「・・・あれだけ、兄さんはやめてって言ったのに。」
それだけ言うと、緑花は盛大に溜息をつき、目の前のパンチェッタとほうれん草のペペロンチーノを食べ始めた。
「緑花・・・怒った?」
「まぁ、怒ったと言えば怒ったけど、でも就職先の相手を自分で選べた訳ではないし、途中で投げ出せない結衣の性格は知っている私としては、納得してしまったというか。」
「ありがとう。」
「いいえー。・・・でも結衣、兄さんの事が好きなのよね?言わなくても見ていれば分かるわ。」
「!?ゴホッ」
突然の指摘に私はむせそうになった。
私ってそんなに分かりやすいの?
だとしたら、碧斗さんにも・・・!?
隠そうと決めたのに、家政婦を辞めさせられちゃうかもしれない。
その恐怖に私は黙り込んでしまった。